地域活動を行うために必要なことは何だろう?準備、段取り、技術、知識、知恵、やる気、コミュ力。足らないのは経験だけだ。10年続いた近江楽座の活動には、先人たちの経験に培われた地域とのプラットフォームはすでにある。しかし、活動メンバーは毎年新しいメンバーが入ってくる。それは企業でも同じだ。その新人たちをトレーニングする仕組みが急務だった。これまで近江楽座学生委員会が果たしてきた役割は、プロジェクト間の交流や、広報、アーカイブ作りだった。どちらかといえば事務的な活動だったものが、最近、様々な勉強会やセミナー活動を開催している。それは、地域活動の現場に入るための準備活動なのだ。地域活動のリテラシーを学ぶことで、プロの仕事の凄さや、社会的責任を知ることができる。学生としてのアカデミックで真摯な姿勢は時として、融通無碍に対処することを否定してしまう。活動リスクを未然に防ぐ準備や、発生した場合の的確な対応が必要だ。そんな実践的な安全管理術を学ぶスキルアップ講座は、地域活動だけでなく普段の学生生活に必要な大切な気づきを生む。
映像、印刷、広報などの技術を特技に変えて現場に生かしていく「寺CO座」は、得意な学生たちが自主企画して、お互いにアドバイスできる学内プラットフォームとなった。人に伝えたいことをわかりやすく伝える技術は、地域活動では無くてはならない学生たちの武器となっていく。今年度、学生たちが行ったその他の活動を上げてみよう。新入生に向けての合同説明会「楽座市」では各チームの活動広報や、活動成果などをオリジナル商品として販売を行った。海外からの留学生に向けての説明会や、学生同士の交流会「ぞろぞろ会」、オープンキャンパスでは近江楽座のブースを設置して高校生たちに大学での地域活動を説明した。ウエブサイトやSNSを駆使して身近な情報のやりとりは容易となり、異なるプロジェクトのイベントを知り、チーム間の参加を通じてプロジェクトの協働が進んでいる。
チームが競い合っているわけではない。勝ち取った達成感をモチベーションとしているわけではない。メディアに載ることが目的ではない。近江楽座に関わらず、この大学に来るとやりたいことが見つかるのだ。このような校風、学生気質が育ってきたのは、地域というフィールドをキャンパスに代わる学びの場としてきた滋賀県立大学の姿勢にある。地域に根ざした公立大学こそ今の社会におけるリベラルアーツの基本とも言える教育の場を提供している。毎年のことだが、持続が力を生む。毎年同じことをどれだけ長くできるかが地域活動の基本だ。これからの活動には学生委員会が果たす役割がさらに重要になってくる。しっかりとした視座をもって、頑張っている学生たちを応援したい。
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